事業再構築補助金の利用について

「産業構造転換枠」から狙う事業再構築補助金

第11回の公募は締め切られ、第12回の公募は制度見直し中です。公募開始に向けて準備しておきましょう!

業績が低迷している業種・業界や業績の回復が期待できない業種・業界の事業から成長が期待でき分野への事業へと事業を転換(事業再構築)する経営計画を作成して、実施することに対して補助金が受けられます。

申請枠は「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」「産業構造転換枠」「成長枠」「グリーン成長枠」「サプライチェーン強靭化枠」があります。
「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」は業況が厳しい事業者向けに補助率が高く設定され、自己負担が軽減されます。
「産業構造転換枠」がこの補助金制度の標準的な枠組みです。
「成長枠」「グリーン成長枠」は成長のハードルが高く設定されています。
「サプライチェーン強靭化枠」は海外に事業展開している製造業の国内回帰など事業規模の大きな中小・中堅企業を想定しています。

制度概要 新型コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象に、経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い 切った事業再構築を支援する制度である。
利用者 中小企業者、小規模事業者、個人事業主、企業組合、事業連合、事業協同組合
中堅企業(資本金10億円未満の会社)
事務局 事業再構築補助金事務局
事業計画
  1. 補助事業の具体的取組内容
    製品・サービスの新規性と既存事業と異なる市場の説明
    SWOT分析、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容、今回の補助事業で実施する新市場進出や事業・業種転換等の内容
  2. 将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
    本事業の想定ユーザーやマーケット、市場規模等に対する成果の優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法
    本事業の事業化見込み(目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等)
  3. 本事業で取得する主な資産
  4. 収益計画
    本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等
    収益計画における付加価値額などの算出根拠

事業計画の流れ(ストーリー)は、現状分析→事業再構築の必要性→新しい事業内容とその収益性・リスク分析、事業化の可能性評価→事業化で用いる資産→収益計画です。

事業計画は独創的な事業を数値を使った客観性と情緒的でない論理的な表現で記述します。

主な審査項目
  1. 補助対象事業としての適格性
  2. ユーザー、マーケット及び市場規模の客観的評価、市場ニーズの客観的検証
  3. 競争優位性の確保
  4. 事業化に向けた中長期の課題の検証と事業化の遂行方法、スケジュールや課題解決方法の妥当性
  5. 人材や実務能力などの体制面と財務状況等から事業遂行力の確実性、金融機関等からの資金調達の確実性
  6. SWOT分析から導出された事業再構築の必要性、事業再構築の取組内容の根拠の妥当性
  7. 事業の再構築は業種を転換するなど、大胆さやハイリスクか
  8. 費用対効果の高さ、現在の強みの活用度、既存事業とのシナジー効果の高さを踏まえた取組の効率性
  9. ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した感染症等の危機に強い事業か
  10. 生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図り日本経済の構造転換を促すことに資するか
  11. 先端的なデジタル技術や低炭素技術をはじめとする経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて国の経済成長を牽引し得るか
  12. 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えてV字回復を達成するために有効な投資内容か
  13. ニッチ分野における差別化はグローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか
  14. 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に経済的波及効果を及ぼし、雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となりうるか

事業計画をよく見せるための文学的な修飾辞はマイナスで、客観性と論理性を兼ね備えた現状評価、将来予測、目標達成の確実性を事業計画で記述することが重要です。新規性要件を満たすことは最低条件です。

これらのことを図表を交えて漏れなく、A4で15ページ(補助金1,500万円以下は10ページ)に納めることは容易ではありません。

補助対象経費
  1. 建設費
  2. 機械装置・システム構築費
  3. 技術導入費
  4. 専門家経費
  5. 運搬費
  6. クラウドサービス利用費
  7. 外注費
  8. 知的財産権等関連経費
  9. 広告宣伝・販売促進費
  10. 研修費
  11. (廃業費)…産業構造転換枠
補助率・上限額 中小企業の補助率は3/4〜1/2(枠によって違う)
中小企業の補助上限額は1億円〜100万円(枠及び従業員規模によって違う)
中小企業から中堅企業に成長する事業計画なら「卒業促進枠」が上乗せされる。
大幅な賃金引き上げを含む事業計画なら「大規模賃金引上促進枠」が上乗せされる
補足 補助事業の完了から5年間、毎年「事業化状況・知的財産権報告書」等を決算資料などを添えて提出しなければなりません
参考情報 このページは、ブログ「仕事と縁起と清福と」の記事を再編集したものです。